ナチス・ドイツによるロンドン空襲が激しさを増す第二次世界大戦中、人々にとって”命の水”であるウイスキーが枯渇してしまっていた時代に、スコットランドのエリスケイ島沖で大量のウイスキーを積んだ貨物船SSポリティシャン号が座礁した事件の実話を基に描いた物語。原作は英国人作家コンプトン・マッケンジーが1947年に発表した小説「Whisky Galore」(意味:たっぷりのウイスキー)。1949年に初映画化され、名作として多くの人々から愛され続けてきた。待望のリメイクとなる本作は、少年時代からオリジナル版のリメイクを夢見ていた1人のプロデューサーの熱意により10年の歳月をかけて製作された作品である。SSポリティシャン号に乗船していた士官候補生や座礁した船をいち早く発見した人物など、事件を直接知る人々への丁寧な取材に時間を費やし、まるでウイスキーを熟成させるかのように完成された。全編スコットランドでロケが敢行され、当時の面影を残す17世紀に建てられた歴史的建造物など、スコットランドの名所をはじめとした貴重なロケーション撮影による美しい映像にも注目である。
エディンバラ国際映画祭のクロージング作品としてワールドプレミアされるや否や観客からスタンディングオベーションで迎えられ、世界の国際映画祭で多くの映画ファンたちから喝采を浴びている本作は、ウイスキーをこよなく愛するユーモラスでお茶目な島民たちと、父と娘の普遍的な愛の物語を情感豊かに描いている。メガホンを取ったのは、ベルリン国際映画祭をはじめ世界の国際映画祭で多くの受賞歴を誇る名監督ギリーズ・マッキノン。英国アカデミー賞生涯功労賞に輝いたピーター・マクドゥガルが脚本を務めている。
美しいスコットランドの各地で撮影された映像、思わず誰かと踊りだしたくなるような心弾む音楽、可愛らしい衣装や小物、美味しいウイスキーが飲みたくなる魅力満載のシーンの数々が、心をほっこり幸せにしてくれる。
愛娘たちの結婚話に動揺する父ジョセフ役に、『ラブ・アクチュアリー』の名優グレゴール・フィッシャー。結婚適齢期の仲良し姉妹に扮するのは、『ランズエンド -闇の孤島-』のナオミ・バトリックと『17歳の肖像』のエリー・ケンドリック。島に訪れた大騒動に翻弄される姉妹の婚約者役として、『ハリー・ポッター』シリーズのオリバー・ウッド役に大抜擢されたショーン・ビガースタッフと『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』『ダンケルク』のケヴィン・ガスリーがそれぞれ好演する。さらに、島民の敵ワゲット大尉を、『ワルキューレ』『オーシャンズ13』に出演した大人気コメディアンのエディ・イザードが務め、圧倒的な存在感を発揮。本作を彩るユニークで愛おしい島民たちに見事な息吹を吹き込んだ実力派俳優たちの競演が大きな見どころのひとつとなっている。